翻訳:張 歓
修正:須崎 孝子
監修:姚 武強
2014年6月23日、カタールドーハで開催されたユネスコ世界遺産委員会第38回大会は、広西桂林、貴州施秉、重慶金仏山、広西環江の4つの部分からなる「中国南方カルスト」の2期が「中国南方カルスト」拡張プロジェクトとして「世界遺産リスト」に登録されたと発表した。施秉は貴州省のリーポー、赤水に次いで世界自然遺産の登録に成功後、第三の世界自然遺産の地となった。施秉の世界自然遺産地の中心地である雲台山はその重要な構成部分であり、1988年に国家級風景名勝地に指定され、2002年に国家AAAA級観光スポットとして承認され、「中国筆数名山」と「国家地質公園」などの名誉を獲得した。
雲台山観光スポットは施秉県の北部に位置し、県城から13キロ離れている。その平均標高は1000メートルで、風景区の面積は64平方キロメートルで、地質公園の計画は21.97平方キロメートル。
雲台山は主峰の团仑岩の海抜1066メートルのため、山の間に突起している。山形の「四面を削って、雲の半分だけ」で、山の頂は台のようだ。また、雲海の奇観がよく現れて、だから雲台山と呼ばれている。雲台山風観光スポットは舞陽河国家級景勝地の主な構成部分で、観光スポットは雲台山、外営台、橋頂山及び大田丘などの群峰から構成されている。雲台山、排雲関の二つの観光スポットに分けられて、主に排雲関、筆架山、野牛洞、五指峰、印闘閣、宝石苑、虎背、渡雲橋、周公殿、徐公殿、庵道花、一天花雨、会仙橋などの観光スポットは24か所で、山間の珍しい植物は400種類近く、貴重などの動物は概ね百種類がある。全体の観光地区の山の形状は独特で、白い雲岩の塔の形の群峰は鼎立して、幾重にも重なり合って、溝の溝が縦横に走って、渓谷の水は清流して、植生は繁茂されて、雲が立ち上るように生い茂って、極めて壮観だ。雲台山は原始の自然生態、天象奇観、奇峰麗水、仏教遺跡、道教古刹などの自然と人文景観を特色としている。
世界自然遺産連盟の専門家は、施秉雲台山観光スポットを代表とするカルストの地形を考察した後、ここで発達した白雲岩カルストの地形は古く、完備していて、世界でもめったにない、面積は比較的大きい。「世界で一番美しい白雲岩カルスト」と言える。
施秉カーストの世界自然遺産地の総面積は282.95平方キロメートルで、雲台山観光スポット、スギ木河観光スポットとその水源涵養区に含まれている。相対的に溶けにくい白雲岩基岩の上で優れた峰むら峡谷景観を発達させた。全世界の熱帯、亜熱帯白雲岩カルストの最も典型的な例。湿潤な亜熱帯環境下の白雲岩の上峰むら(錐状)カルストの独特な発展過程を示しているので、中国南方カルストに重要な貢献をした。
世界では、イタリアパドヴァ国家地質公園も白雲岩カルスト地形に属し、氷河の浸水によって草木が生えない。施秉雲台山は氷河に濡れず、原始林に覆われた白雲岩カルスト地形。世界自然遺産連盟の専門家は、カルスト地形の進化の過程に現れた空白を埋める世界的な唯一性を持っていると考えている。
施秉カースト世界自然遺産地は中国雲貴高原の東部に位置し、湘西低山丘陵に移行した山原斜面地帯にあり、中国の階段地形第二級と第三級の過渡地区にあり、川が切り裂かれた亜熱帯カルスト高原。また、揚子江流域のウォン江水系舞陽川の中流地区に位置し、主に杉木河水系と瓦橋河水系が含まれる。その一番目立つ景観は円錐状峰むら峡谷と円錐状峰むら頂部の塔状峰林カルスト。ここには完璧な白雲岩カルスト地層、構造、地形、洞窟、地下水系などの地質遺跡が保存されている。世界熱帯、亜熱帯白雲岩カルストの優れた代表で、5.7億年の古い白雲岩性に基づいて開発された錐状峰むら峡谷カルストを例に挙げて、白雲岩が特定の自然地理的背景と構造で発達的な典型と壮観な景観を証明した。「中国南方カルスト」の豊かな地形タイプに積極的に貢献する。
施秉白雲岩カルストの地勢は急峻で、河谷から山頂まで異なる気候を形成している。土壌環境は森林、河川及び洞穴生態系を発達させている。森林被覆率は93.95%に達している。植生は原生の交替を主として、垂直に分かれ、寄生、攀縁及び生物カルストなどの生態適応現象を形成している。生息地は多くの古い単独植物の避難所となり、野生動植物に多様な生息環境を提供し、豊かな生物多様性を育んできた。ここは植生が盛んで、林がうっそうと茂っていて、古い原始森林。生態システムのタイプは多様で、森林、河川、岩岸、洞穴と農畑村などを含み、独特性と原始性の二つの特徴がある。施秉は亜熱帯常緑広葉樹林区域の中央アジア熱帯常緑広葉樹林地帯に属し、地帯性植生は中央アジア熱帯湿潤性常緑広葉樹林。
植生タイプは針葉樹林、針広葉樹林、常緑広葉樹林、常緑落葉広葉樹混交林、竹林、潅木むらなど8つの森林植生タイプ、61つの群系があり、中には高等植物1351種、苔癬植物50科285種、ワラビ類25科127種、裸子植物7科22種、被子植物131科917種がある。ここには国家1、2級の保護植物の銀杏、紅葉杉、穂花杉、香果樹などがある、多数は漢方薬の材料。例えば、ベコニア、太子参、冬凌草など、薬の価値が大きい。
区域内の動物群落は大体渓河動物群、河谷芦竹と河原潅木むら動物群、森林動物群、竹林動物群、岩岸動物群、潅木むら灌草動物群、農畑動物群と洞穴動物群などの群落タイプに分けられる。このうち、脊椎動物298種、魚類17科(亜科を含む)49種、両生類6科14種、爬虫類10科30種、鳥類41科(亜科を含む)160種、哺乳類19科45種である。また、200種類以上の藍藻や豊富な昆虫や洞穴動物が分布している。高等植物の中で中国物種赤色リストに登録されたのは68種で、脊椎動物の中で中国物種赤色リストに入ったのは242種で、その中に相当部分はそれぞれ「絶滅の危機に瀕している野生動植物種国際貿易条約」の名簿と国家重点保護野生動植物名録に登録されている。ここは猿の群れ、大サンショウ、イノシシ、トビウオ、トレンチ、オオミネコなど数十種類の珍しい動物の生息地。
ここは600年前、仏教名所である。明代、貴州偏橋(施秉旧称偏橋)千戸の徐貞員は道教を信奉し、明隆慶丁卯年(1567年)に雲台山を開拓し、道教の開山祖となり、今から400年余りの歴史がある。ここは仏教と道教を結びる一つで、最盛期に、僧侶道士は260人に達し、寺廟、畑土8667アール余りを持っている。周公廟、徐公殿は雲台山の宗教の聖地で、毎年旧暦の“3月3日”に、周辺から来た善男善女はいずれも雲台山に集まって線香を上げて巡礼して、とてもにぎやかだ。周辺にはまだ多くの懸崖石刻観光スポットがある。
周辺の民族風情は濃厚で、民族文化は多彩だ。ミャオ族の二月二祭橋節、三月十五姉妹節、五月苗家竜船節、七月卯日捉魚(魚をとる)節、「刻道」文化節などがある。その中のミャオ族の「刻道」文化は国家級の無形文化財に登録された。