翻訳:楊 順佳
修正:宮澤 詩帆
監修:姚 武強
補筆・再構成:CJ NaoTo
「赶秋節(かんしゅうせつ)」は、ミャオ族をはじめとする中国南部の少数民族が、立秋の時期に催す伝統的な祭礼であり、豊作を感謝し、来たる実りの秋を祝う民俗行事である。
「赶秋」という語は直訳すると「秋を追う」あるいは「秋を迎える」といった意味を持ち、季節の変わり目において農耕を一時中断し、人々が盛装して秋の訪れを寿ぐという趣旨が込められている。この祭りは、季節の節目と共同体の再確認、そして若者たちの出会いの場として、古くから地域社会において重要な役割を果たしてきた。
祭り当日は、参加者たちは晴れ着に身を包み、丘陵地の坂道など自然の中で一日を過ごす。ブランコに乗ったり、ルシェン(蘆笙)を奏でたり、輪になって踊るなどの伝統的な遊戯・芸能が繰り広げられ、会場は賑やかな祝祭空間となる。こうした身体表現をともなう芸能は、ミャオ族文化における生命力の表現、祖霊への感謝、さらには男女の交流の場ともなっており、社会的な意味合いも濃い。
祭りの終盤には、地域で人気のある男女二名が「秋の老人(秋公公・秋婆婆)」に扮し、五穀豊穣と家族の安寧、村の繁栄を祈願する儀式が行われる。これにより、祭礼の祝意は象徴的に締めくくられ、共同体の人々にとっての新たな農耕サイクルの始まりが、祝福とともに告げられる。
なお、赶秋節は地域によって開催時期や形式に差異があり、特に貴州省東南部のミャオ族地域では、観光資源としての側面も年々強まりつつある。